非開削マンホール浮上抑制工法(フロートレス工法®)
平成24年度 土木学会賞「技術開発賞」受賞
- 内容
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既設マンホールを非開削で改良。液状化現象によるマンホール浮上を抑制し、下水の流下機能を確保します。
地震(液状化現象)とフロートレス工法
近年、十勝沖地震や新潟中越地震などでは、地震時の強い揺れにより地盤の液状化現象が発生し、多数のマンホールが浮き上がってしまいました。地震によるマンホールの浮上現象は、下水道の寸断を招き、下水道の流下機能を損ないます。また、地上から突き出した部分は、交通の障害となり、緊急車両などの通行を阻害し、被災者の救援活動にも影響を与えてしまいます。
そこで、このマンホールの浮上現象を少しでも緩和するように、非開削マンホール浮上抑制工法(フロートレス工法)を開発しました。この工法は、マンホール壁に、地震時に発生する過剰間隙水圧を消散させる消散弁を設置し、マンホールの浮上を抑制する工法です。
フロートレス工法の概念
地震時に発生する過剰間隙水圧を過剰間隙水圧消散弁により瞬時に消散します。
これにより、マンホール周囲の液状化現象を抑え、マンホールの浮上を抑制します。
- 特徴
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この工法には、以下のような特長があります。
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非開削でマンホール内よりスピーディーに施工可能
専用のマシンによってマンホール内部より消散弁を設置する孔を削孔して消散弁を設置するため、開削することなく、スピーディーで容易に設置でき、安全確実に施工できます。
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安価な施工費
既設のマンホールに対して開削することなく施工することができるため、施工費の縮減が可能です。
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どのようなマンホールにも対応
この工法では、既設マンホールの大きさ・深さから、消散弁の最適な取付け位置・数量選定が可能です。また、消散弁は、耐腐食性を有した材料を使用しています。
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通常の下水道の維持管理上の支障にならない
消散弁は、マンホールの壁に埋め込まれた状態のため、下水道の維持管理の支障になりません。
施工機械
- 仕様
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マンホール形状 |
円形、矩形、楕円形 |
マンホール内寸 |
円形/内径750〜1500mm
非円形/最小内寸法900mm・最大内寸法1500mm |
消散弁設置深さ |
GLから5m以内 |
壁厚さ |
60〜300mm |
備考 |
新設および既設マンホールに対応 |
- 実績
- 平成19年度より事業化を開始し、令和4年度末までに国内累計28,357箇所(令和4年度:716箇所)の人孔に施工しています。また、平成26年8月には、ニュージーランド国ウエリントン州ポリルア市において3箇所の人孔に施工しています。
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技術部 土木技術開発担当
TEL.03-3241-0960